2025年9月17日に、地域連携カンファレンスが開催されました。現地とオンラインでのハイブリッド開催で、私は現地の会場で参加しました。
今回のメインは、医師が高血圧の治療方針を決める際に用いているガイドラインの改訂に関する講演です。大きな変更点は、高血圧を「治す」のではなく「長く安定して付き合う」視点が加わったことです。
血圧の目標は、病院での血圧が130/80mmHg未満、自宅での血圧が125/75mmHg未満とされました。これまで基準が緩やかだった75歳以上の高齢者にも同じ目標が適用されることになり、より積極的な管理が求められます。治療用アプリの活用も初めてガイドラインに盛り込まれ、今後はアプリを使った血圧管理も積極的に行われる予定です。
日本には高血圧の方が約4,300万人いるといわれますが、良好にコントロールできているのは27%程度と、主要国の中でも最低レベルです。高血圧を放置すれば動脈硬化が進み、脳卒中や心臓病、腎臓病など重大な病気を引き起こす危険があります。学会では減塩を広める「よしおくん」というキャラクターも登場し、今後はYouTubeでの情報発信も行われる予定です。
私が診療の中で強く感じるのは、高血圧と糖尿病を併せ持つ方が少なくないということです。高血圧と糖尿病が重なると、腎症などの合併症のリスクが高まってしまいます。血圧をしっかり管理することは、糖尿病の合併症予防にもつながります。今回のカンファレンスでも、糖尿病性腎症の抑制効果が期待できる症例を紹介しました。
血糖値だけでなく血圧の管理も、糖尿病治療の大切な一歩です。新しいガイドラインを踏まえて、食事・運動・薬・アプリを組み合わせながら、主治医と相談しつつ血圧管理に取り組んでいきましょう。