「果物は体に良いから、糖尿病でも食べていいですよね?」という声をよく聞きます。確かに、果物にはビタミンや食物繊維などの栄養素が豊富に含まれています。しかし、とり方によっては血糖コントロールを乱してしまうことがあり、注意が必要です。
果物に多く含まれる糖質は「果糖(フルクトース)」と呼ばれるもので、単体では血糖値を急激に上げにくい性質があります。しかし、果物には果糖だけではなく、血糖値が急上昇しやすいブドウ糖も含まれます。果物の種類や食べ方によっては血糖コントロールが悪くなってしまうため、果物の食べ過ぎには注意が必要です。
また、果物には種類によって糖質量に差があります。血糖値が上がりやすい果物は、柿やぶどう、マンゴーなどです。血糖値が上がりにくい果物には、キウイやいちご、グレープフルーツなどが挙げられます。糖尿病の方が果物を食べる際は、血糖値が上がりにくい果物を選ぶのがおすすめです。
果物の種類だけでなく「量・時間・食べ方」を工夫することも大切です。1日で食べてもよい果物の量は、100g程度が目安とされています。キウイであれば1個、いちごは3〜5個、グレープフルーツは1/4個程度です。おすすめのタイミングは朝食後のデザートなど、活動が始まる時間帯です。空腹時や夜遅い時間は、血糖値が上がりやすくなるため避けましょう。また、野菜やたんぱく質と一緒に食べることで、血糖値の上昇をゆるやかにできます。
糖尿病の方が果物をとる上で注意したいのが、果物ジュースとドライフルーツです。果物ジュースは、果汁を絞ることで食物繊維が失われ、糖分が濃縮されています。ドライフルーツも水分が減って糖分が濃縮されているうえ、商品によっては周りに砂糖がまぶされているものもあります。血糖値を急上昇させる原因になるので、果物ジュースやドライフルーツのとりすぎには気をつけましょう。
糖尿病の患者さんであっても、果物は完全に避ける必要はありません。大切なのは「食べすぎない」「時間を選ぶ」「上手に組み合わせる」こと。正しい知識をもって果物と付き合えば、糖尿病の方でも安心して楽しめます。主治医と相談しながら、自分に合った食べ方を見つけていきましょう。